:::藤沢市議会議員 柳田ひでのり:::藤沢市議会議員柳田秀憲のブログです。

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議会基本条例
4月14日、法政大学廣瀬克哉教授をお招きし
「議会基本条例」
についての勉強会が開催された。
正確には、
「藤沢市議会議員研修会」
の第1部
「議会改革の課題と議会基本条例の意義」
という講演会である。

廣瀬教授は、各地でのとり組みに造詣が深いのは当然として、自身がお住まいの所沢市の議会条例づくりにも参画するなど、この分野の中心的な研究者である。
大変お忙しい中お越し頂き、貴重なお話を伺うことができたのは幸運である。この場で御礼をさせていただきたい。

さて、この議会基本条例だが、一般の方にはなじみがないと思う。しかし私たち地方議員にとっては、まさに議会の存在を問い質すかのような非常に重要なものであり、わが藤沢市議会においても制定が真剣に議論されているのだ。

ということで、少々説明させていただきたい。

地方制度調査会(略称:地制調)という、国の審議会がある。
戦後、現行憲法が制定され、地方自治が国の制度の根幹に位置づけられたことをうけ、1952年に第一次地方制度調査会が設置されて以降、現在は第29次地制調となっており、地方制度のあり方について、財界代表や前鳥取県自治の片山慶大教授など、錚錚たるメンバーが議論し政府に答申する、というものだ。
国の地方分権政策に多大な影響を及ぼすもので、地方自治関係者は地制調の動向を注視しているのだ。

で、この第29次地制調の答申が昨年6月に出されているのだが、この中で地方議会についても触れられている。
廣瀬教授の講演とあわせ、地方議会の状況を概観したい。

〜議会は住民から評価されていない〜
議会は市民の代表だ、と認められているだろうか?
「あなたは、市議会に市民の声が反映されていると思いますか?」
これは、多摩市議会がおこなった市民アンケートの問いで、回答は

反映されている … 0.8%    
ある程度反映  …31.6%
反映されていない…30.4%
わからない   …35.9%


であった。(廣瀬教授講演レジュメより)
地制調の答申にも、
「議会は、多様な民意を反映しつつ、団体意思の決定を行う機能と、執行機関の監視を行う機能を担っているが、十分にその役割を果たしていないのではないかなどの指摘がなお見られるところである」
と指摘されているとおり、上記のアンケート結果は藤沢市においても大差ないのではないだろうか?
だが、
「(略)地方公共団体の責任領域が拡大するものと考えられ、議会機能のさらなる充実・強化が求められている」
とある。
国は地方分権を進め、それに応じて各自治体も分権時代に相応しい地方自治の担い手になるべく体制強化を図っている。市町村合併も一つの方策だ。
国や執行機関側のとり組みが進んでいる中で、地方議会だけが旧態依然としており分権時代から取り残されている、のかもしれない。
廣瀬教授もこの事を憂慮しておられた。
「(改革に取り組まない)議会は最後の抵抗勢力、と見られてしまいますよ」

議会の役割とは、法的には自治体の意思決定機関であり、執行機関(首長)の監視役である。
市長と議会はそれぞれ別の選挙で住民代表として選ばれている。「二元代表制」、チェック&バランスの関係だ。
監視と同時に自治体の権力を市長と議会で分け合う、「分権」することにより一方の暴走が抑止されている、ということだ。
法制度上はそうなる。
いずれにせよ議会は「市民のため・市のため」に存在しているのは自明なのだが、上記の理由で役に立たない議会でも無いよりはマシ、いや存在するだけでも意味がある、と私は思う。
ただし、その場合は「無給」かそれに近い場合に言えることだろう。

私は年間で約950万円の議員報酬を得ている。
年4回の定例会の会期合計は100日ほどで、それ以外にも多少公務はあるがフルタイムで働いているとは言い難い状況なのは確かだ。

その割には高給だ、と言われてしまうかもしれない。
私としては自分の報酬に対しては「ありがとうございます」しかないが、あえて言えば高給取りという実感はなく、政治活動資金・選挙資金の捻出に四苦八苦しており、贅沢とはほど遠い生活だ。
報酬自体は高額にも見えるが、議員年金と国保、国民年金を合わせると200万円ほどの社会保障費を負担している。国保と国民年金は雇用者負担分が無い(議員年金は市も補助しているが)のでサラリーマンの同年収の方よりも手取り収入は少なくなる。

それでも高いのかもしれない。また、年額128万7千円の政務調査費も頂いており、はっきり言って助かっている。で、これも高い、という批判がある…。

報酬・政務調査費が高い、という批判に対して反論はない。さりとて他に仕事を持つことが困難なのも確かだ。
どうしても議員専業という事になってしまうので、現状の報酬はありがたく、それを前提に生計を立てている身としては「議員報酬削減は痛いな」というのが本音だ。
いずれは今の水準の報酬も維持出来なくなる日がくるかもしれないが、カネのために政治家をやっているわけではない、といってしまえばそれまでだ。
「武士は食わねど高楊枝」だ(苦笑)。

何だか愚痴っぽくなってしまったが、ようは議会は機能していない、議員は働いていない、その割には報酬が高い、という批判があるわけだ。
一方で、地方分権は進み、自治体(首長)の権限も拡大していく。
過激な言動で注目を集める首長が見られる
が、暴走している、と言わなければ、チェック&バランスという二元代表制そのものに挑戦している、ような言動が繰り返されている。
今こそ地方議会の存在意義が問われているのだ。

報酬が高いという批判には、今の私には「そう言われないように頑張ります」としか言いようがないが、議会・議員はいらない、っていう意見に対しては
「首長の暴走を止めるのは誰か?」
「執行機関を監視するのは誰か?」

と言いたい。
もちろん、住民は(ハードルは低くないものの)直接請求で首長・議会(議員)のリコール、監査請求や訴訟もできる。確かに議会だけではないが、
議会がダメなら結局は市もダメになる、と思って私は市議をやっているつもりだ。

というわけで、大変長くなったが、こうした背景から、住民に信頼される議会をめざし各地方議会が議会改革にとりくみ、その象徴的な存在
「議会基本条例」
なのだ。

各地で条例制定の動きが見られるが、パイオニアは北海道の栗山町で、議員個人ではなく党派を超えて「機関としての議会」という立場で、住民向けに説明会などを積極的に行っている。
また、議会は「討論の広場」であるとして、討議のプロセスを重視し議会内で闊達な議論が行われるよう自らに課す一方で、行政側には議員の質問にたいして
「反問」することも認め、また行政が政策提案する際には、その善し悪しを議会が議決する責任上、積極的な情報提供を求めている。具体的には

1.政策等の発生源
2.検討した他の政策案等の内容
3.他の自治体の類似する政策との比較検討
4.総合計画における根拠又は位置づけ
5.関係法令条例等
6.政策等の実施に関わる財源措置
7.将来にわたる政策等のコスト計算


という
「政策情報7項目」
を示すことを条例で定めたのだ。
議決の責任が議会にはある、ならば判断できるような材料をしっかりと示すべき…。
確かにその通りだ。

これらの活動が実り、栗山町議会は住民の信頼を勝ち取っているようだ。
そして、議会が住民と関係を深めていく中で住民の自治意識も著しく向上しているというエピソードも紹介された。

「行政と議会で、ある案件についての見解が対立した」
「町民は行政・議会双方の説明を受けた」

この事態を見て、
「町民は混乱しないのか?」
と問いかけたところ、ある町民(行政経験も議員経験もない、ましてや大学教授でもない(笑)、一般の方)が
「二元代表制とはそもそもそういうものだ。双方の意見を比較検討することにより町民はより理解が深まるのだ」
と答えたという。
廣瀬教授は感嘆したとのことだった。
栗山町は、まさに民度が高まっている。結果、行政も引き締まり、良い町につながることになる。

このような話を廣瀬教授はご講義くださった(と思う)。
大変長くなったが、以上が議会基本条例を取り巻く状況だ。

「議会改革」というと議員の生き残りのためにやっている、という印象も正直ある。
しかし、そんなことをやっていると住民に見透かされるのは明らかだ。

なぜ、議会改革を行うのか?
それは当然ながら
議会の機能を向上させるため。
地方分権時代に資する議会となることが、
市民の信頼獲得
につながる。そうなれば、
執行機関側も議会を軽視できなくなる。
行政は引き締まり、
政策の精度は上がる。

議会改革は市民の福祉向上・市の発展につながっていくはずだ。

今後、藤沢市議会も「議会基本条例」制定に向けて走り出すことになるだろう。
その際には、議会事務局には多大なサポートをお願いすることになる。
地制調の答申では議会事務局機能の向上なども指摘されているが、本市の議会事務局は県内で最も少ない人数(議員定数あたり)と言われる中にあって、私はよく助けられている。

研修会の第2部では、藤間議会事務局長から、実際の議会基本条例づくりの講義が行われ、事務局による叩き台とその解説を受けた。
いくつかの論点が示され、今後の議論が非常にスムーズになるだろう。
局長はじめ事務局のご労苦に感謝申し上げたい。
事務局素案についての私の見解は、まとめ次第当ブログでご報告したいと思う(この項つづく)。
| 01:08 | 議会(その他) | comments(2) | trackbacks(0) | posted by 柳田ひでのり |
Comment








コメントありがとうございます。
議員報酬に関しての考え方の目安は「地方自治法」になるのだと思います。
法では「議員に報酬を出すこと」と明記されていますが、その理由としては、地方議会が民主主義の基本であって、その議員は(公的に)身分が保障されてこそ、言論活動・政治活動ができる、ということでしょう。

で、議員の側もそれに甘えることなく、なぜ二元代表制なのか?という原点に立ち返り、自己研鑽をしなくてはなりませんね。

ということで、村丘原人さんの報酬は「現行」とのご意見には感謝します。
部長が多いとのご指摘も同感です。ただ、参事職は以前は部長と同じ俸給表の「8級」だったのが、今は「7級」となりましたので、改善はされてきていると思います。

ともあれ、為政者は組織を手なずけるためにポストを作りたがる傾向にあるでしょうから、議員はそうした点もチェックしていかなければなりませんね。
posted by 柳田ひでのり | 2010/05/06 7:35 PM |
現行報酬が望ましい。ただし、今時HPも貼れない人は考慮
を要す。 それにつけても、部長・参事が多すぎないか?!。公民館部長などはどうも理解しずらい。
posted by 村丘原人 | 2010/04/30 6:30 PM |
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