用地対策連絡協議会
今日の読売新聞神奈川版に、藤沢市の公共事業にまつわる補償費のあり方について、問題提起がされているので紹介したい。
これは市の計画道路事業である「土棚石川線」(全長4680m)のうち、引地川に架かる
「湘南台大橋」(全長127m)
建設の際、立ち退きが発生したが、その移転補償費の支出が不適正だったのでは、という内容だ。
さらに、立ち退いたうちのアパート1棟は元市助役の所有物だった、というオマケがついている。
記事は
「国基準反し家賃補償」
と大見出しがつき、さらに
「藤沢市 元助役の空室にも」
との見出しで、神奈川版トップの扱いだった。
内容は、元助役所有のアパートは全8室だが、入居者がいたのは6室で2室が空きとなっていたにも関わらず、8室分の賃料相当額を補償していた。
が、国基準では空室は「補償対象外」とされている。
さらに、本来6カ月分までしか「別の基準」で認められていないのに、当該アパートの空室に対して21カ月分の賃料相当分を大家である元助役に支払っており、このことを問題視したわけだ。
記事を読むだけで全体像はつかめるのだが、私からいくつか補足をしたいと思う。
この記事にある「国基準」とは、正式には
「用地対策連絡会」(通称:用対連)
が定めた基準のことだ。
で、この「用対連」とは、土地収用に関わる国交省を始めとした中央省庁と電力会社やJRなどで構成された公的機関で、事務局は国交省にある。
そして、記事中の「別の基準」とは、「『関東』用対連」の基準で、こちらは中央省庁と1都8県等がメンバーとなっている。
こちらの事務局は国交省の「関東地方整備局」だ。
つまり、藤沢市は「関東用対連」の基準で土地収用の際の金額を決めている建前になる。
にも関わらず、用対連「基準」以上の補償をおこなった、ということを問題視しているわけだ。
この問題について、私は
「移転補償費のあり方がおかしい」
という趣旨の文書を入手したのを切っ掛けに調査し、さきの予算委員会で質問してみた。
その際の市側の答弁は
「市から空室の募集停止をお願いした関係上、家賃見込み収入分も補償した」
というものだった。これは用対連基準違反では?と質すと、
「それは認めるが、空いた部屋に人が入ると、引っ越し料を店子に支払うことになる。そういう費用と募集停止をお願いする代わりに家賃相当分を大家に支払うのと比較した結果、費用が安く上がる可能性があると判断した」
という趣旨の答えが返ってきた。
一理ある、とは思う。
だが、ここに根本的な違いがある、と言わなければならない。
用対連の基準では、あくまでも入居者保護の視点から立ち退き料を支払うことにしており、大家に対しては実際に入居者がいた部屋の分に限って賃料相当分を補償することになっている。
ようするに、引っ越し料は入居者に支払うもので、大家にはいかないお金だ。
それに対し、家賃補償は大家に入るわけだ。
入居者には「居住権」という人権、がある。
大家には経済的な、権利、つまり「営業権」がある、ということになる。
で、営業権も強力な権利だが、その時点で空室になっていて賃料を稼げていなければ不動産として営業していることにはならない、ということだろう。
だから、空室は補償対象外になる。
しかし、今回は空室分も補償してしまったのだ。
しかも、6カ月という基準を大幅に超過して21カ月分も。
これは、元助役が相手だからか?と勘ぐりたくなるが、一概にそうは言えないかもしれない。
この記事にもあるが、別の工事で移転となったアパートに対しても、空室に対して賃料を補償していたのだから。
いずれにせよ、市が杜撰な補償をしていたことは確かだ。
極端なたとえだが、
「ここに道路を通すから立ち退いて下さい。ちなみに、あなたの家は1000万円の価値です」
「しかし、すぐにどいてくれるのなら、2000万円払います」
という交渉なら、楽だろう。
市は仕事を楽にするために、余計な金を払った、ということになる。
これはダメだ。
行政は公平でなければならない訳で、ある人は素直に1000万円でどいたが、別の人はゴネて、結果2000万円になった、では正直者が馬鹿を見ることになる。
そうならないために各役所や関係企業がスクラムを組んで、公平・公正な土地収用・移転補償を研究する機関をつくり、そこで決められた基準を皆で守ろうとしているのだ。
今回藤沢市がやったことは、大げさに言えば、これら関係者の努力を無にするものと言える。
確かに法律違反ではなく、あくまでも用対連「基準違反」、に過ぎないのなかもしれない。
だが、全額市のカネで道路事業をやっているのではなく、国庫補助(40〜50%)があるからなり立っている。市の抜け駆けは許されない。
会計検査院が見たら「国庫に返納しろ」と言うのではないか?
「法には反していない」
善行問題や地域経営会議などに対し、疑問を呈するたびに市側から聞かれる言葉だが、もう聞き飽きた。
これは市の計画道路事業である「土棚石川線」(全長4680m)のうち、引地川に架かる
「湘南台大橋」(全長127m)
建設の際、立ち退きが発生したが、その移転補償費の支出が不適正だったのでは、という内容だ。
さらに、立ち退いたうちのアパート1棟は元市助役の所有物だった、というオマケがついている。
記事は
「国基準反し家賃補償」
と大見出しがつき、さらに
「藤沢市 元助役の空室にも」
との見出しで、神奈川版トップの扱いだった。
内容は、元助役所有のアパートは全8室だが、入居者がいたのは6室で2室が空きとなっていたにも関わらず、8室分の賃料相当額を補償していた。
が、国基準では空室は「補償対象外」とされている。
さらに、本来6カ月分までしか「別の基準」で認められていないのに、当該アパートの空室に対して21カ月分の賃料相当分を大家である元助役に支払っており、このことを問題視したわけだ。
記事を読むだけで全体像はつかめるのだが、私からいくつか補足をしたいと思う。
この記事にある「国基準」とは、正式には
「用地対策連絡会」(通称:用対連)
が定めた基準のことだ。
で、この「用対連」とは、土地収用に関わる国交省を始めとした中央省庁と電力会社やJRなどで構成された公的機関で、事務局は国交省にある。
そして、記事中の「別の基準」とは、「『関東』用対連」の基準で、こちらは中央省庁と1都8県等がメンバーとなっている。
こちらの事務局は国交省の「関東地方整備局」だ。
つまり、藤沢市は「関東用対連」の基準で土地収用の際の金額を決めている建前になる。
にも関わらず、用対連「基準」以上の補償をおこなった、ということを問題視しているわけだ。
この問題について、私は
「移転補償費のあり方がおかしい」
という趣旨の文書を入手したのを切っ掛けに調査し、さきの予算委員会で質問してみた。
その際の市側の答弁は
「市から空室の募集停止をお願いした関係上、家賃見込み収入分も補償した」
というものだった。これは用対連基準違反では?と質すと、
「それは認めるが、空いた部屋に人が入ると、引っ越し料を店子に支払うことになる。そういう費用と募集停止をお願いする代わりに家賃相当分を大家に支払うのと比較した結果、費用が安く上がる可能性があると判断した」
という趣旨の答えが返ってきた。
一理ある、とは思う。
だが、ここに根本的な違いがある、と言わなければならない。
用対連の基準では、あくまでも入居者保護の視点から立ち退き料を支払うことにしており、大家に対しては実際に入居者がいた部屋の分に限って賃料相当分を補償することになっている。
ようするに、引っ越し料は入居者に支払うもので、大家にはいかないお金だ。
それに対し、家賃補償は大家に入るわけだ。
入居者には「居住権」という人権、がある。
大家には経済的な、権利、つまり「営業権」がある、ということになる。
で、営業権も強力な権利だが、その時点で空室になっていて賃料を稼げていなければ不動産として営業していることにはならない、ということだろう。
だから、空室は補償対象外になる。
しかし、今回は空室分も補償してしまったのだ。
しかも、6カ月という基準を大幅に超過して21カ月分も。
これは、元助役が相手だからか?と勘ぐりたくなるが、一概にそうは言えないかもしれない。
この記事にもあるが、別の工事で移転となったアパートに対しても、空室に対して賃料を補償していたのだから。
いずれにせよ、市が杜撰な補償をしていたことは確かだ。
極端なたとえだが、
「ここに道路を通すから立ち退いて下さい。ちなみに、あなたの家は1000万円の価値です」
「しかし、すぐにどいてくれるのなら、2000万円払います」
という交渉なら、楽だろう。
市は仕事を楽にするために、余計な金を払った、ということになる。
これはダメだ。
行政は公平でなければならない訳で、ある人は素直に1000万円でどいたが、別の人はゴネて、結果2000万円になった、では正直者が馬鹿を見ることになる。
そうならないために各役所や関係企業がスクラムを組んで、公平・公正な土地収用・移転補償を研究する機関をつくり、そこで決められた基準を皆で守ろうとしているのだ。
今回藤沢市がやったことは、大げさに言えば、これら関係者の努力を無にするものと言える。
確かに法律違反ではなく、あくまでも用対連「基準違反」、に過ぎないのなかもしれない。
だが、全額市のカネで道路事業をやっているのではなく、国庫補助(40〜50%)があるからなり立っている。市の抜け駆けは許されない。
会計検査院が見たら「国庫に返納しろ」と言うのではないか?
「法には反していない」
善行問題や地域経営会議などに対し、疑問を呈するたびに市側から聞かれる言葉だが、もう聞き飽きた。